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映画「杉原千畝」

今日は実在の外交官を題材にした映画「杉原千畝」を見てきた。杉原千畝(すぎはらちうね)氏は、第二次世界大戦中、リトアニアの日本領事館領事代理として赴任していた時に、ナチスの迫害を逃れて逃げてきたユダヤ人に独断で日本通過ビザを発給し、多くのひとの命を救うことになった。

発見されたビザのリストによると、その数は2139枚。1枚のビザに子どもなど家族が含まれるケースもあり、杉原氏のビザにより救われた命は6000人以上だと言われている。後に杉原氏は退職勧告を受け、外交官を辞したという。

映画はナチスの蛮行に憤りを感じる熱血外交官といったような単純化した美談としてではなく、杉原氏が満州国で外交官として質の高い情報を収集していたこと、ドイツのソ連侵攻の計画を嗅ぎつけるなど、優秀なインテリジェンスオフィサーであったことも合わせて多面的に描いている。

若干上映時間が長そうで途中で間延びするかもしれないと思ったが、それは杞憂で、厭きさせないテンポの良いストーリーとなっている。人が死んだり戦闘の場面もあるが、現代に生きる我々にも多くのことを考えさせられる映画である。

こう書けば、ラカン理論を知るひとなら、セミネール7巻のアンティゴネの話や、大文字の他者の概念はすぐ連想されるだろう。ここでさらにラカン理論を使っての説明と文章の才に長けれていれば、精神分析的見地からの映画評論の論文いっちょ上がりー、となるのだろうが、アイディアだけで、はいそれまでよ、という私の文章はここで終わるのである。
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