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精神分析のこれから

精神分析が今後どうなっていくのか?ふだんから気になるテーマである。考えだせばきりがないが、連想することをいくつか書いてみよう。

セッションの頻度は、フロイトは、すべての人にというわけではないが、週6回を基本としていた。次第に時代とともに頻度がより少ないものが許容されるようになり、今はIPA では週4回以上のものが精神分析なのだということになっている。IPA 以外の団体では週3回以上というものもあるようだ。ラカン派ではそもそも固定された枠を嫌う傾向があり、セッションの時間も45分とか50分というようにきっちり固定されてはいないし、頻度もフレキシブルでこだわらない。遠方から休みを取って分析を受ける場合などは集中的にやることもよくやられている。1日に複数回のセッションをやるようなケースもあり、仮に1日3回で5日間連続してやれば、週に15回ということになる。こういうやり方はラカン派以外ではおそらくあり得ないであろう。

話は跳んで、現在の私の臨床活動ということになるが、実験的試みとして、月に2回くらいの頻度でしかも何曜日の何時というふうに固定せず月毎に相談して決めるというやり方を、希望がある場合にはやってみた。仕事がシフトを組むスケジュールになっていて、休みのタイミングがはっきりしないという方は大勢おられる。そういう方も受けることができるよう対応を試みてみた。そういうやり方を受け入れることはおそらく少ないので、好評ではあった。ただ、対応する側としてはなかなか大変な面がある。仕事のシフトが決まってから、予約の日時を決めることになるし、複数の人の間で希望する日時がかち合ってしまうこともある。また、私自身のスケジュールも毎週変わり、複雑怪奇なものとなる。手間と費やすエネルギーを考えると、このやり方をずっと続けるわけにはいかないので、そろそろ、新規の方については変則的な予約はやめようかと考えている。ただ、今までそういうやり方で続けてこられた方はそのまま変えずに継続することにしている。でなければ、続けることが難しくなってしまうだろう。

頻度のことに限らず、この世界にいる者はこれからの精神分析を考えることを避けるわけにはいかない。今日の話題に合致した雑誌を最近購入したので紹介しておこう。「精神療法」という雑誌が金剛出版から出ているが、「増刊第5号」の「精神分析の未来を考える」という特集号である。まだ部分的にしか読んでいないが、なかなかおもしろい論考が並んでいる。
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精神医学の学会で神戸へ

今日から7月。今日は日差しが強い。風のおかげで涼感があり過ごしやすい。梅雨は6月末に開けたとのことだ。

先日、神戸で日本精神神経学会の学術総会が開催され出席してきた。幅広い分野に渡っての発表やシンポジウム、ワークショップがあった。いろいろと刺激になったが、印象に残ったものとしては、性同一性障害/性別違和に関するシンポジウムがある。内容はプライバシーの問題もあるので控えるが、会場の入り口に数種類のチラシ、パンフレットが置いてあったのでもらってきた。

そのパンフレットの一つに、『学校の中の「性別違和感」を持つ子ども』のタイトルでサブタイトルが「性同一性障害の生徒に向き合う」というものがあった。作成者は岡山大学の中塚幹也氏で、科研費の予算で作られたものらしい。確かに小学校や中学校での対応は重要な問題だと思う。生徒自身が自分の悩みについてよく認識できていないことは多いだろう。学校の先生や親がこういう悩みを持つ子どもがいることを知っておくことが必要と思われる。

パンフレットの1ページ目に性同一性障害の簡潔な説明が載っているので、以下にそれを引用しておく。

性同一性障害 (Gender Identity Disorder: GID) とは、「からだの性」と「こころの性」とが一致しない状態で、自分の身体の性を強く嫌い、その反対の性に強く惹かれた心理状態が続きます。身体の性は男性、心の性は女性である male to female (MTF) と、身体の性は女性、心の性は男性である female to male (FTM) とに分かれます。
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