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蜷川さん

演出家の蜷川幸雄さんが5月12日に亡くなった。80歳だったとのことだ。蜷川さんは英国でシェークスピアを上演するなど、世界レベルで活躍した方である。

数年前に、蜷川さんの講演を聞いたことがある。蜷川さんは、厳しい演技指導で有名だが、講演はざっくばらんな話ぶりで笑いを誘うエピソードを入れながら、話に引き込まれた。蜷川さんをよく思うひとも悪く思うひともいるだろう。個性の強いひとの宿命でもある。講演という限られた中での印象だが、蜷川さんは実直なひとなのだろうと、私は思った。一度は演出作品を観たかったが、機会を逸してしまったのは残念だ。それでも、直に蜷川さんを見て、話を聞けたのはよかったと思う。

本人を見ずに流れてくる情報からだけでは、人柄はわからない。私は仕事上、いろいろなひとの人生の語りを聞く。本人の話を聞くことが圧倒的に多いが、家族あるいは知人から間接的に話を聞くこともある。間接的に聞く場合も私なりに本人をイメージしてみるが、やはりそれは勝手に作った想像上のイメージにすぎない。蜷川さんの講演があるという機会を逃さず聞けたことは幸いだった。その当時はお元気だった。この分ならまだまだ大丈夫だと思って、観劇はそのうち機会があればと悠長なことをしていたことが反省される。
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ラカンのワークショップやら雑誌やら

昨日は研究会だった。やはりいろいろな人とディスカッションするのは勉強になる。仲間2人と私の3人が世話人なのだが、立ち上げてもうすぐ3年になるという話もした。どういうことになるやらと始めたことが継続できていることは嬉しい。

以下、ラカン精神分析に興味がある方々へのお知らせになるが、日本ラカン協会は、東京大学の原和之氏が新しい理事長に就任し、理事会では今年度の催しを計画しているところである。ディスクール(言説)を今年の中心課題として取り上げることになっており、そのことについての原理事長による解説は、同協会のホームページに掲載されている。そのテーマに沿ったワークショップは夏と秋の2回開催されるが、夏のワークショップは、2016年7月24日(日)に東京の専修大学で行われる予定である。また総会とシンポジウムは12月開催の予定である。

他に、同協会は「I.R.S.ージャック・ラカン研究」という機関誌を発行しているが、その第13号が現在、発行準備中である。この号には、私の論文も掲載されることになっており、今、校正しているところである。精神分析に詳しいひとにもまだ初心のひとにも、それなりに刺激となるようにと書いてみた。転移と逆転移について、フロイト、ラカン、リトル、神田橋、ウィニコット、を取り上げ論じたのが前半。後半は私の個人的な精神分析体験について書いてある。実は、この論文の締切は昨年の夏で、後半部分はパリから帰国した後に大急ぎで書いた。あまり推敲はせず一気に書いたので、今読んでみると、文章は粗い感は否めない。しかし、話すようにさっと書いたので、前半のシンポジウムで話した部分と文体のつながりがよいような気もして、敢えて文章を整えることは止めることにした。たぶん、夏頃には発行されるだろう。ふだん、論文や本を書かない私にとっては、自分の文章が活字になるというのは、楽しみではある。アカデミックな領域にいて論文ばかり書くような生活は好まないが、たまにふだんと変わったことをするのも頭の体操や刺激になってよいのかもしれない。
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