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パリの精神分析家

先日、パリから精神分析家が来日して、単発の研究会が開かれた。少人数だが充実した時間を過ごすことができてとても勉強になった。分析家により英語での発表がなされた後、討論は英語と仏語で行われたが英語がメインとなった。久しぶりに英語を使ってついていくのはなかなか大変だった。聞いて理解できているのは一部だし、自分で言いたいこともなかなか英語の言い回しが出てこない。結局、単純化して言うしかなくなってしまう。もっと英語に慣れておかないといけないと思った。とは言え、仏語も英語も勉強しないといけない、使わないといけないと思いながらさぼってばかりであるのが情けない。

研究会の後は、和食屋で懇親会が行われた。D さんは数年前に来日して講演会が開かれたのだが、その際に私が討論の時間に質問したのを覚えてくれていた。日本贔屓の方で、皆で楽しく歓談した。後にコーディネーターから、発表者にとってもいろいろなことが連想されて刺激になって有意義だったと知らせがあったとのメールが来た。日本には精神分析家は少ないが、国際レベルの一流のひとと交流することはもちろん私たちにとってありがたいことである。

ところで、私のパリでの精神分析の先生であるクロード(Dさんとは別人)と前回会ってから、1年になる。今年も行きたかったが今のところは渡航の予定が立っていない。今年も間もなく後半になる。これから、学会や研究会が多くなってくる季節で、パリに行くタイミングが取れるかどうかわからない。1年前のパリはとんでもない猛暑だった。サバイバルが大変だったが、その苦労も懐かしい。

話は戻るが、貴重な時間を提供してくださったD さん、そしてこの機会をアレンジしてくださったコーディネーターに深謝する次第である。
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精神医学の学会に参加

先週は精神医学の学会があった。幕張メッセという大きな会場だったが、東京駅で京葉線に乗り換える道のりが長い。まあ、歩いて運動になってよいと思うことにしよう。

専門医の更新のため、カードを提示してチェックを受けるのだが、専門医の更新の要件が変わったらしい。今までポイントを貯めるという方法だったのだが、単位制になった。ポイントと単位で何がどう違うのか、メリットやデメリットはなど疑問が湧くが、何が何やらわからずこちらはただ従うしかない。どうも移行期で旧来に近いものと新しいものとの二つのやり方が今のところ併存しているらしい。らしい、というのも最近、機関誌が届かなくなりネット上にある雑誌にアクセスするということになったため、情報取得が面倒で以前より困難になったのだ。新方式で単位を取得する人は各会場に並び入り口でチェックを受けるため長蛇の列をなしている。世の中、強迫的でせちがらくなっているなあ、などと感じながら会場の中をウロウロしたり講演を聞いたりした。

大きな会場では、書店の出店が出る。この学会でも本がけっこう並んでいて、神田橋條治先生の新刊を見つけたので購入した。その本のことはまたあらためて書くかもしれない。

興味深かったのは、「内因性うつ病」についてのシンポジウムだった。DSMの診断基準の流布によりうつ病概念は広くなった。しかしながら、内因性うつ病と言われる、うつ病の中核群を精神病理学的に見ていくことは重要である。興味深い話であっと言う間に時間が経ってしまったが、とりわけ中安信夫先生の話は私には役に立った。中安先生の考えや話は、臨床に直結する、理屈ではない臨床精神病理学である。中安先生のような学者や医師が段々と少なくなってきていることが残念だ。
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