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京都のワークショップへ

先週の土曜日、9月22日は京都大学で日本ラカン協会のワークショップがあり参加してきた。初めに松本卓也氏による導入の話、続いて武田宙也氏と上尾真道氏による二つの発表があり、討論が行われた。どの話もそれぞれ知識を仕入れたりあるいは考えるヒント、刺激になり興味深かった。特に武田氏の話は臨床家である私には大いに得るところがあった。

武田氏の発表のタイトルは「ジャン・ウリと自己のプリコラージュ的創造」というものであった。ジャン・ウリはフランスの精神科医で制度精神療法の実践で知られている。今回の武田氏の発表はウリが1986年から1988年にかけて行ったパリ第7大学で行った精神病と美的創造に関する講義を下敷きにしたものであった。この講義録は早くも1989年に『創造と統合失調症』というタイトルで出版されているとのことだ。

武田氏の話の前半はウリの創造論、そして後半は集合体 (コレクティフ) の話となる。私はアートの意義については以前から考えるところがあり、また精神科病院という病院環境において長く仕事をしていることもあり、武田氏の発表は全編を通じてワクワクしながら聞いていた。ウリの述べることは机上の空論ではない。病者との関わりや共同作業に没頭し、どうしたら人々がよりよく生きていけるのだろうということを実践を通して考えながらの考察や理論化だと思えるのである。

ゆっくりする時間がなくて後の懇親会には参加できず、神奈川にトンボ帰りの帰途についたが、充実感のある京都小旅行だった。
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