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「フロイト全集別巻」

「フロイト全集 別巻ー総索引、年表、主要述語訳語対照表ほか」(岩波書店)を購入した。岩波書店のフロイト全集はすべて揃えていたのだが、別巻はなかなか出版されずにいた。いつになったら出るのだろう。いや、もう出版はされないのか、などと思い、半ば諦めていた。

ところが、今年になりようやく出版されたことを知り合いから聞いた。近くの書店で探したがみつからず、最近、東京の書店で見つけて買うことができた。因みに私は本は基本的に書店で買うことにしている。通販は便利かもしれないが、多くの人がそちらに流れてしまうと、リアルな書店はどんどんなくなってしまう。

まえがきは11ページに及ぶ長いものである。まずは、刊行が遅れたことのお詫びから、作業が大変な労力を要するものであったこと、内容の紹介などが書かれている。一読者として、刊行にこぎつけたことを祝い感謝したい。たとえば、「無意識」は精神分析理論の最も重要な概念と言ってよいだろうが、フロイトがどういうところで言及しているのかがこの用語のところを見ればすぐにわかる。フロイトを研究するものにはとても有り難い。年表も有り難い。フロイトがナチスによる迫害から逃れてウィーンからロンドンに移住したことは周知のことであるが、詳細な日付としては、1938年の6月4日にウィーンを出発し、6月6日にロンドンに到着したとのことだ。私は何となく旅程は1週間程度はあるのかな、などと勝手に思っていたのだが、そうではなかったことを発見した。

この別巻は、単語や数字の羅列であるが、そこからいろいろな意味、思考が生まれてくる。そして、この別巻の原稿が書かれた時はまだ未完だったのだが、総目次にはちゃんと別巻が記載されている。ないものが記載されているという言い方もできる。斜線を引かれた主体とは、ラカン理論ではよく言われるが、ただラカンが言っているという引用ではなく、自分なりに考えてみたい。
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